代表取締役社長
砂川博明 メッセージ
自動車の電動化に貢献するキャタラー。CASE領域の技術革新をはじめ、クルマの概念が変わる時代だからこそ、キャタラーには飛躍のチャンスがはっきりと見えています。競争に勝つためのグローバルビジョン、そして新しいものを創造せずにはいられないキャタラーのDNAについて、代表取締役社長・砂川博明がお話しします。

100年に一度の大転換期にあると言われる自動車業界で見られる1つの大きな変化は自動車の電動化です。この電動化に貢献しているのが、キャタラーが持つ世界トップレベルの排出ガス浄化触媒技術です。当社はさらに燃料電池電気自動車用電極触媒などの次世代技術も磨き、自動車の概念が大きく変わる時代にあっても成長を続けるための基盤を固めています。
電動化の潮流とグローバル競争の激化に備える
キャタラーは空気をきれいにする環境技術を開発し、その技術をいち早く取り入れた排出ガス浄化触媒などの製品を世界のお客様に提供している企業です。主要製品である自動車用排出ガス浄化触媒は、電動化の一環として普及が進むハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてガソリン・ディーゼル車に搭載され、国内トップシェアを獲得しています。触媒の技術が向上した結果、現在ではエンジンから排出されるガスの有害物質を99%以上を浄化することが可能です。ICE(内燃機関)向け触媒は日本以外の7ヶ国(タイ・南アフリカ・アメリカ・中国・インドネシア・インド・チェコ / 2021年時点)でも生産しており、世界中の自動車・バイクメーカー等に採用されています。
キャタラーが新たに取り組んでいる事業には、すでに芽を出し始めたものや、成果が実りつつあるものがあります。燃料電池電気自動車(FCEV)の発電装置(スタック)に利用される電極触媒や、電動車向け発電機(モーター)の炭素材料などがそれです。FCEV用電極触媒は、二酸化炭素(CO2)削減による持続可能な社会の実現を目指してトヨタ自動車と共同開発した製品で、トヨタ自動車のFCEV「MIRAI」に採用されています。この技術はFCEVのほかにも、電気自動車(BEV)やHEVのリチウムイオンバッテリー、次世代の全固体電池にも応用が可能です。

Connected(常時インターネット接続化)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(共有化)、Electric(電動化)の頭文字をとった「CASE」(ケース)と呼ばれる新しい領域で技術革新が起きています。しかし、自動車の電動化によって内燃機関が一気になくなるわけではありません。これからの電動化でまず主役を担うのは内燃機関を積んだHEVやPHVです。また、内燃機関を必要とする新興国などの市場はまだまだ活発で、2060年までは需要の伸びが見込まれています。その間に私たちは力を蓄え、カーボンニュートラルの時代に貢献する商品の研究開発・製造・販売などの新しい事業の種をまき、さまざまな実を結ぶ木に育てていきます。それらの中のいくつかの事業を将来、排出ガス浄化触媒の需要が減少した部分に替わるキャタラーの柱にしなければいけません。

今こそ飛躍のとき
そのような将来を見据えてつくったのが「グローバルビジョン2025」です。2015年にキャタラーの10年後のあるべき姿を見せようと策定しました。ビジョンでは、「躍動、躍進、飛躍」をスローガンとし、そのビジョンに共通する「躍」という文字をシンボルマークにしています。そして、五つの文字に私の思いを託して、従業員全員に伝えました。
「創」、新たな技術、新たなやり方を破壊的に創造しよう。「瞬」、さまざまな環境変化を先取りし、迅速に対応しよう。新しく開発した技術で「勝」ち残っていこう。「絆」は地域住民、従業員とのつながりを大切にしよう。そして、一番力を入れたいのが「輝」です。従業員が輝く未来、輝く人になってほしいという願いを込めました。このビジョンの想いすべてが、2018年に本格稼働した研究開発拠点「キャタラー アーク・クリエイション・センター(以下:アーク)」に詰まっています。ビジョンの策定から2025年までの折返し点を過ぎ、今は躍進のときです。2025年にはアークを舞台にした開発も含め、キャタラーは大きく飛躍します。
また、経営環境の激変に備え、強い組織に生まれ変わろうとする意識が実ったのが、2018年の「デミング賞大賞」の受賞です。デミング賞は「総合的品質管理(TQM)」の活動で優れた実績をあげた組織に与えられる賞です。デミング賞大賞に応募できるのは、デミング賞受賞後3年以上にわたり継続的にTQMを実践している組織です。
キャタラーは2015年のデミング賞受賞後、自動車の電動化の潮流や激化するグローバル競争を見据えたグローバルビジョンの策定と、その実現に直結したTQMの展開を図りました。また、プラットフォーム触媒による開発期間の短縮と受注確率の大幅な向上、サプライチェーン全体へのBCM(事業継続マネジメント)の拡大、弱点を顧客価値創造に転換する新研究開発センター(アーク)の立ち上げ、日常管理の標準整備による自工程完結の徹底、IoT時代における情報基盤整備など、さまざまな活動を全社を挙げて推進しました。これらの活動が評価され、デミング賞大賞を受賞できました。
キャタラーにはチャレンジ精神が根付いています。会社が設立された1967年(昭和42年)にあったのは、排出ガス規制への適合という至上命令だけで、触媒をつくるという明確な計画はありませんでした。そのような状況から歩みを始め、トヨタ自動車とともに試行錯誤を繰り返していく中で、貴金属を使った触媒のカタチが徐々にできあがり、それを量産につなげていったのが会社の起源です。つまり、新しいものを独自に立ち上げていくキャタラーの精神が、創業当時からキャタラーのDNAとして根付いてきました。
自動車メーカーを中心に自動車業界の誰もが新しいクルマの使い方を模索する時代にこそ、キャタラーのDNAが真価を発揮します。人と環境に優しく、持続可能な未来社会を創り上げていくために、グローバル規模で環境問題の解決に取り組んでまいります。
2021年 9月
株式会社キャタラー代表取締役 社長
新時代の課題に「共創」で挑む
代表取締役副社長 一瀬宏樹
メッセージ
企業の枠を超えた技術者たちの「共創」を叶える「キャタラー アーク・クリエイション・センター」(静岡県磐田市)。この創の拠点では、排出ガス浄化触媒や燃料電池電気自動車(FCEV)向け電極触媒など、自動車の転換期に存在感が増すキャタラーの技術に磨きがかけられています。代表取締役副社長兼同センター長・一瀬宏樹がお話しします。

